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アサシンクリード歴史

十字軍遠征に至った経緯

イスラム世界では8世紀頃からスンニ派とシーア派の二大宗派が登場し、両者は幾度もの抗争を繰り返してきた。11世紀になると、スンニ派のセルジューク朝がイスラム世界の主導権を掌握する。その勢力をキリスト教世界にまで拡大しようする。そして1071年には東ローマ帝国軍を打ち破り、セルジューク朝はアナトリア(現トルコ)まで進出した。

セルジューク朝に脅威を抱いた東ローマ帝国の皇帝は、ローマ教皇に救援を求めた。これを受けたローマ教皇は、東ローマ帝国の救援と聖地エルサレム奪還という大義のもと、西欧諸国に十字軍の結成を呼びかけた。そのころヨーロッパでは、農地の開墾による土地不足が深刻化していたため、諸国は十字軍遠征を領地拡大の好機とみて積極的に参加したという。これが約200年に及ぶ十字軍遠征の発端である。

アサシン教団の誕生

イスラム教スンニ派のセルジューク朝は勢力を拡大する一方で、国内のシーア派を厳しく弾圧していた。
迫害されて育ったシーア派のハサニ・サッバーフは、セルジューク朝打倒のためニザール派という組織を立ち上げる。
そして1090年頃、彼はエルブルズ山脈に難攻不落の城を築き、ここに同志を集って大勢力に抵抗した。
これが後のアサシン教団になったといわれている。

立派な城を築いたニザール派だが、強大なセルジューク朝を倒すだけの軍事力は持っていなかった。
そこでハサンの考えた対抗手段が「要人の暗殺」である。
ハサンは死をも恐れぬ屈強な信徒を使い、将軍や知事といったセルジューク朝の要人を次々と暗殺したという。
1096年から十字軍の遠征が始まると、ニザール派は十字軍と一時的に手を結び両者共通の敵であるセルジューク朝に対抗することもあった。だが、彼らは敵と見なせば勢力・身分を問わず凶刃をふるったため「 Hashshash(大麻中毒者)」と呼ばれ、しだいに十字軍を含む全勢力から恐れられるようになる。

セルジューク朝の衰退とサラディンの台頭

イスラム世界において一大勢力を築いたセルジューク朝だが、十字軍の介入、さらにはアサシン教団ら敵対勢力のテロ活動により、しだいに支配力を失っていく。そして国内では、自ら王を名乗った首長らが独立して政権が分裂する。ついにはエジプトで興ったアイユーブ朝によって、アラビア半島まで追いやられてしまう。

その後、エジプトでアイユーブ朝を興したサラディンが大シリアの支配権をも握るようになり、このサラディンの軍勢と十字軍の抗争が激化していく。

十字軍時代の終焉

十字軍遠征の主目的は「イスラム教からの聖地奪還」であったが、実際にはさまざまな思惑がからんでいた。
国王や諸侯にとっては領土拡大の好機となり、教皇は教義が対立する東方教会(東ローマ帝国の国教)を取り込もうとしていた。また、商人たちは東方への販路拡大をもくろんでいた。

第4次十字軍の頃から主目的よりも思惑が優先されるようになり、しだいに十字軍の存在意義は薄れていった。
そして十字軍の遠征は数度の失敗を経たのちに、1291年に大シリアにおける唯一の拠点であるエルサレム王国の滅亡をもって終結する。
十字軍時代は日本の平安時代後半から鎌倉時代前半にあたり、源頼朝が鎌倉幕府を開いたのが1192年頃である。
主人公アルタイルはその約1年前に活躍した人物ということになる。

十字軍遠征の狙いと結果

国王・諸侯

目的:領土の拡大、税収の増加

結果:商人と結託して経済力を増した。
   それまでの封建制から貨幣中心の社会が形成される。

教皇

目的:東方、西方教会の統一

結果:十字軍遠征の失敗により信徒の信用を失う。
   また、自ら領地拡大に邁進し世俗化する。

商人

目的:東方への販路拡大

結果:東方貿易を独占し富豪化。
   経済力をもって国家と結びついていった。

十字軍遠征年表

年号

主な出来事

マンジケルトにおいて、セルジューク朝が東ローマ帝国軍を破る

1071

ハサニ・サッバーフがニザール派を結成する

1090頃

第1次十字軍。十字軍がエルサレムを占領。十字軍がエルサレム王国を建国する

1096〜99

セルジューク朝が分裂。以降は各首長の軍事政権が乱立する

1157

第2次十字軍。十字軍の内部対立によって失敗する

1147〜49

サラディンがエジプトでアイユーブ朝を興す

1169

サラディンがエルサレムなどの諸都市を奪還する

1187

第4次十字軍。十字軍がコンスタンティノープルを占領する

1202〜04

十字軍がエジプト攻略を目指すが失敗する

1215〜21

交渉により、十字軍が一時的に聖地を回復する

1228〜29

ルイ9世がアイユーブ朝の首都カイロを攻めるも敗走

1248〜54

アイユーブ朝が滅亡し、マムルーク朝が興る

1250

ルイ9世の病没により遠征が中断される

1270

マムルーク朝によってエルサレム王国が滅ぼされる。十字軍終結

1291

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